「ああ、千種高校」                          安藤 邦男

                     「創立10周年 回顧さまざま」 愛知県立千種高等学校
                                         昭和47年11月 2日


 わが千種高校が思いでの学校として、私の心にいつまでも残るであろう理由が、二つある。

 一つは、学校というものが、建物や設備・備品はもちろん、校内組織や機構から、伝統とか校風とか呼ばれるものに至るまで、一体どのようにしてつくられていくかを、創立期の本校にあって、自らも微力ではあったが努力しつつ、つぶさに学ぶことができたことであった。

 もう一つは、本校が私の教師生活では二つ目の学校であり、しかも自分の30代に当たっていたことである。最初の学校では、私は20代教師のもつすべての長所と短所を(もっとも私の場合、短所ばかりであったが)さらけ出した。汗顔の至りであるが、20代という「行動期」の特性に免じて、許してもらえるのではないかと思っている。しかしこの学校では、「反省期」とでもいうべき30代の落ち着き(私の場合は当てはまらないが)に、それまで得た経験の若干をプラスさせながら(これも怪しいものだが)、まずは大過なく過ごさせてもらった。もっとも、これは自分の20代との比較の話であって、客観的に見れば、依然として出来の悪い教師で、先生方や生徒諸君にいろいろ迷惑をかけたことは、十分に承知している。

 いま、私は「充実期」と一般に呼ばれている40代を、三つ目の高校で送っている。一般的評価に反し、まことに充実していない日々の連続で申し訳ないが、まだ40代に入ったばかりのためだと、自ら慰めている。しかしそれにつけても、千種高校の今後の充実・発展がとても他人ごとに思えぬほどに、私の関心をひくのは何故であろうか。30代の青春の挽歌がそこに捧げられたためであろうか。それとも40代の充実感か私にも訪れたというのだろうか。(現在、県立昭和高校教諭、同校図書館主任)

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