「教務主任会と教頭会の『同期の桜』佐藤さん」
 
          「ポプラそよぎて」愛知県立瑞陵高校 佐藤英二先生退職記念誌

                                         教頭 安藤邦男
                                           昭和63年 3月 1日


 去年の秋のある日、佐藤さんから急に電話があった。「もしもし、こんどの木曜日の夜、あんたヒマ?もしヒマだったら、一晩つきあってもらえんだろうか」。わたしが名北地区へ移ってから、久しぶりに聞く佐藤さんの声は、以前と少しも変わりなかった。有無を言わせない誘い方も、昔のままであった。

 その会合に、佐藤さんのお声がかりで、何人かの教頭仲間が馳せ参じたのは、言うまでもない。夜の更けるまで、楽しいひとときを過ごした。

 考えてみれば、佐藤さんとは酒の席で、よくご一緒した。だからと言って、むろん夜の付き合いだけではない。昭和高校にいた頃は、学校が近かったせいもあって、お互いによく電話したり、訪問したりした。

 それというのも、佐藤さんとわたしは、教務主任になった時期も、教頭になった時期も同じというめぐり合わせで、新任研修会をはじめ、多くの会議で席を並べた仲であった。

 とくに教務主任時代は、指導要領の改定期と重なり、新しい教育課程案を持ち寄っては、比較研究をしたものであった。瑞陵高校と昭和高校とでは、出来あがった教育課程は、かなり違ったもむのとはなったが、しかしお互いに最善のものを目指して、ベストを尽くしたという思いは、同じであった。

 わたしたちが作ったその教育課程も、いま再び新しく改定する動きが始まっている。本県の入試制度も、新しい複合選抜に切りかえられようとしている、一つの時代の終わりを感じさせるこの頃である。

 この時代の節目にあたって、佐藤さんは勤続四半世紀におよぶ瑞陵高校を去られるという。お心はさぞ、尽きぬ思いで一杯であろう。だが、時代とともに歩み、時代とともに立ち去る佐藤さんの後ろ姿には、一つのものを完成した人だけがもつ、充実と威厳とがある。
 佐藤さん、長い間、ご苦労さまでした。

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