Q 初めてお便りさせていただきます。定年退職後、英語のことわざに興味を持ち、図書館通いをしております。今は「松」に関することわざを集めております。

日本のことわざでは「男は松、女は藤」を始めとして数種見つかりましたが、英語となると、大塚高信、高瀬省三(編)『英語ことわざ辞典』(1995、三省堂)の中の次のことわざしか見当たりません。

 The pine wishes herself a shrub when the axe is at her root.(松の木は根元に斧が加えられるとき、自分が灌木であればよいのになあと思う)

上記のことわざの由来は「イソップ寓話」からとありましたが、これに相当する寓話が見当たりません。「木樵と松」というのはありましたが、どうも違うように思います。どのような寓話かお教えください。

また、このことわざは、なにか教訓を含んでいるように思いますが、どのような内容でしようか。
 そのほかに、「松」に関する英語のことわざがありましたらお教えください。
 
以上、お忙しいとは思いますが、お教えいただければ幸いです。


A 英語のことわざとしては、私の調べたかぎり、次の中国起源のものがあるだけでした。

"The pine stays green in winter...wisdom in hardship.”(Chinese)《松は厳冬に緑を失わず、知恵は困苦に衰えることなし》

  そのほか、「世界ことわざ大辞典」(大修館)には、松に関する次のようなことわざが乗っています。

・「咲くのが早い花はしぼむのも早い、すぐにはこぼれ落ちない松葉が寒い風にも耐える」(中国少数民族ナシ族)
・「哀れなマカールに松かさが雨あられ」(ロシア)・「泣き面に蜂」「弱り目に祟り目」(コロレンコの短編「マカールの夢」の冒頭に言及がある)
・「どの松の木も自分の松林のためにざわめく」(リトアニア)(だれでも祖国のために奉仕しなければならない)
・「松の実年(みどし)は結婚の年」(スイス)(松の実のよく取れる年は結婚も増える)

また、

The pine wishes herself a shrub when the axe is at her root.

は「イソップ物語」の「樅の木とイバラ」が下敷きになっていると思われます。

参考までに挙げますと、


「樅の木がイバラを見下して言った。
『私は、世の中に色々と役に立つが、お前には一体何の取り柄がある?』
するとイバラがこう言った。
『確かに、私には何の取り柄もありません。でも、ほら、斧を持った樵がやって来ましたよ。まあ、私には関係ありませんけどね、……あれ? どうしました? 風もないのに急に震え出したりして、私は本当にイバラでよかった!』
 不安を抱える金持ちよりも、貧乏でも憂いがない方がよい。」


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