Q 日米口語辞典(エドワード・G・サイデンステッカー、松本道弘共著)の中に「一石二鳥」の例文として、次の文章がありました。

"He quit smoking last month. He feels better and it saves him money. It was killing two birds with one stone"
 
私の疑問は下記2点です。

@ この例文の主語"It"は「タバコをやめた事が」〜という意味だと思うのですが、なぜわざわざ過去進行形になっているのか?

A この場合、彼 ”He” を主語にして、次の(イ)、(ロ)の言い方ができるのか?
  (イ) He killed two birds with one stone.
   (ロ) He could kill two birds with one stone.
 
もし文法的に@もAもOKならば、会話としてはどちらがいいのか教えて下さい。
もし、AもOKならば、(イ)と(ロ)のどちらがいいのでしょうか?

(名古屋市在住のロッキー)


A まず始めにお断りしますが、"(To) kill two birds with one stone"は厳密に言えば proverb ではなく、idiom ですから、私の「テーマ別・英語ことわざ辞典」には載せてありません。

 それはさておき、質問の@についてお答えします。この場合、 killing は進行形の現在分詞ではなく、動名詞です。It は仰るように、タバコをやめたことをさし、彼にとっては「タバコを辞めたことは一石二鳥だった」という意味ですから、過去形にしたのでしょう。一般的な表現としては、むろん現在形も使えます。

A の質問 「(イ)、(ロ) の言い方ができるのか?」 については、むろんできます。ただ、それぞれ意味が違ってきます。
  (イ) He killed two birds with one stone.
 この場合は、タバコを止め、しかも金の節約もできたという過去の事実に言及し、《彼は一石二鳥のことをした》とか《禁煙は一石二鳥のようなものだった》という意味で使えます。

  (ロ) He could kill two birds with one stone.
 この場合、couldは仮定法過去で、仮定の意味を含んだ婉曲語法で、これからしようとする未来のことを指して言っています。だからこの文章の意味は、《彼だったら多分一石二鳥にしてみせるのだが》とか《しようと思えば彼は多分一石二鳥にできるかもしれない》というような意味です。ですから、上記の文脈で、(ロ)を使うのは無理だと思います。

 これは質問にはありませんが、この場合、進行形を使って次のように言うことはできると思います。
 (ハ)He was killing two birds with one stone.《彼は一石二鳥のことをしていた》
 (ニ)He is killing two birds with one stone.《彼は一石二鳥のことをしている》

 結論として言えるは、上記の文脈では(イ)(ハ)(ニ)を使うことができますが、(ロ)は使えません。もっとも、別の文脈で、上に説明したような意味でなら使うことができますが。

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