Q 外資系企業に勤務中のものです。以前テレビが米大統領選挙の予選を報じたとき、ヒラリークリントン女史が涙を流したのを見ました。強い女性大統領候補も時には弱みを見せるのでしょうか。それとも作戦?でしょうか。そのとき「鬼の目にも涙」ということわざが心に浮かびました。このことわざの英語版があったら、教えて下さい。
A 「鬼の目にも涙」は、普通《冷酷なものも時には慈悲心をおこす》という意味で使いますね。そのような意味でのことわざは、私の知るかぎり、英語には見あたりませんので、意訳する以外にないと思います。
研究社の「新和英大辞典」には、次のような訳を載せています。
Even the hardest heart will sometimes feel pity.《頑なな心でもときには憐れみを感じるもの》
ただ、女性大統領が集票の作戦上涙を浮かべたという意味で使うなら、「鬼の目にも涙」でなく、「鬼のそら涙」「鬼のそら念仏」というべきでないでしょうか。その意味の諺なら、英語では
crocodile tears
といのがあります。冷酷なワニは涙を浮かべて人を引き寄せて食べるとか、涙を浮かべながら人を食う、という意味ですから、残酷さを強調するイディオムです。クリントンさんに当てはめるのはちょっと酷ですね。
一般的に、悪い人にも良い一面があるという意味では、
The devil is not so black as he is painted.
The devil sometimes speaks truth.
Give the devil his due.
などがありますが、これもこの場合、当てはまりませんね。
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