『ことわざから探る英米人の知恵と考え方』 を読んで     田 口  正 治

 

日本人と英米人の考え方の違いに興味を持って読み始めましたが、ことわざの多くは意外にも日本人と共通の「意味」が多いと感じながら読み進みました。

32頁の〈外見と中身の不一致〉の〈黒い牛が白いミルクを出す〉以下のような表現の例は日本語ではあまり見たことがありませんでした。

59頁の〈Fire is good servant but bad master.〉火を恐れ崇める日本にはない発想(表現)だと思いました。

133頁の〈言葉を行動に移す難しさ〉の中の例題はやはり日本的でないなーという印象を受けました。

144頁の〈許すことの大切さ〉ここにある例題の多くは、これはまさにキリスト教文化の発想だなーと思います。

シンガポール建国の父 リー・クアンユー元首相が、日本が戦時中に行ったシンガポールでの侵略について、今から30年前だったかに「許す、されど忘れない」と言ったことは有名ですが、これはおおむねアジア諸国の思いを代表しているように感じています。

 一方 儒教圏ではこれまた魯迅が『阿Q正伝』の中で言った「水に落ちた犬は打て」を外交カードに使っているという気がします。同じ事実を前にしても文化圏によって受け止め方が違うのが、面白いというか、恐ろしいというか。日本人はすぐに〈水に流す〉を実行しますが、これは日本人同士では円満にことを運びますが、国際的には通用しないようです。

162頁の〈悩みや罪の意識〉は、これまたキリスト教圏の考えが大きいですね。〈懺悔して良心の安らぎを得よ〉フィリッピン人の90% は カトリック信者ですが、楽天的な彼らは多少の悪事を働いても、教会で懺悔をすれば許されると考えているような気がしました。

 

7章 人生の生き方について教える

この項では〈諸行無常)に通じる共通の思考が見られました。

Life is but empty dream.〉ですが、平均寿命を過ぎた自分は、これをよく理解できます。

〈楽観論の勧めと戒め〉〈極端と中庸〉これらは表現方法に若干の違いはあれども、いずれも

東西文化の共通点を感じました。

 

8章 東西文化の違いについて教える

この頁を開いて、「しまった!ここを最初に読めばよかった」と思いました。

日本人の寡黙 これは困ったものです。日本人の寡黙は国内では通用しますが、国際社会では通用しません。言葉の壁と共にこれが日本人の外交下手となるのでしょう。

213頁の〈罪の文化と恥の文化〉もまったくその通りだと思いました。

私自身コンビニで万引きをするとしても、店が損をするとは思いますが、そんなに罪の意識を感じません。もし見つかったら恥ずかしいという感覚が大きくて、まだ実行したことがありません。

以上簡単ですが、いただいた著書を毎日少しずつ読んだ感想を書かせていただきました。

この本の最終校正を入院中の病院でなさったとか、奥さまの大きな協力があったとはいえ、この書籍の校正はエッセイや小説と違って、気の抜けない細やかな神経がいりますが、よくなさいました。 読ませていただいた中から、 校正ミスは一つも見つけることができませんでした。

最後にこの本の中からの言葉をお借りして安藤さんご夫妻に贈り、お礼とさせていただきます。

  Love does not consist in gazing at each other, but in looking together in the same direction.(愛とはお互いを見つめ合うことにあるのではなく、ともに同じ方向を眺めることにある。)、

  A good wife makes a good husband.(良き妻が良き夫をつくる。)

            2018728