教訓 159. 悪は善を滅ぼして蔓延するもの。


Bad money drives out good.[Thomas Gresham]「悪貨は良貨を駆逐する」


 コトワザには、善人についてのものが少なく、悪人を扱うものが多いようです。それは、次のコトワザがいうように、そもそもこの世には善人が少なく、悪人が多いからでしょう。

(a) A good man is hard to find.《よい人間は見つけ難い》
 = Good men are scarce.《よい人間は少ない》

 ではなぜ、善人が少ないのでしょうか。それは悪人が善人を追いやり、この世に悪徳と悪人がはびこっているからだと、見出しのコトワザはいいます。これは、16世紀のイギリスの財政家グレシャムの貨幣理論で「グレシャムの法則」として名高いものですが、簡単にいえば、同じ額面価格で金の含有量の多い良貨と金の含有量の少ない悪貨とがあるとすれば、人々は日常の支払いにはもっぱら悪貨を用い、良貨をしまい込むので、流通過程には悪貨が出回ることになる、というものです。同じように、悪のはびこる社会では悪人がのさばり、善人は片隅で小さくなって暮らすことになります。次もその類義コトワザです。

(b) Ill weeds grow apace.《雑草はたちまちはびこる》「憎まれっ子世に憚る」
(c) A bad penny always turns up.《悪貨は必ず戻ってくるもの》(好ましくない人物はいなくなったと思うと戻ってくるもの)

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