教訓 157. 将来に備えて節約し、できるだけ蓄えよ。


Keep something for a rainy day.《万が一にそなえて、なにがしかを蓄えよ》


 貧乏は、たとえそれが浪費の結果であるにせよ、そのこと自体は罪悪ではないし、また恥じる必要もありません。しかし、貧乏はさまざまの不便を提供します。

(a) Poverty is no sin.《貧しいことは罪ではない》
 = Poverty is not a crime.
(b) Poverty is no disgrace, but it is a great inconvenience.《貧乏は不名誉ではないが不便だ》
(c) Want of money, want of comfort.《金がなければ快適生活もない》

 したがって、人間らしい生活をするためには、見出しのコトワザがいうように、できるだけ節約して将来に備えなければなりません。

(d) Waste not, want not.《浪費しなければ、窮乏することもない》
(e) Thrift is a great revenue.《節約は大きな収入》
(f) A thing you don't want is dear at any price.《欲しくないものはいくら安くても高い》
(g) Stretch your arm no further than your sleeve will reach.《袖が届かないほどに腕を伸ばすな》

 とくに、節約しなければならないのは、人件費です。役に立たない人を扶養するのは、経費の無駄遣いです。

(h) Keep no more cats than will catch mice.《ネズミを捕る猫より余計に猫は飼うな》

 また、ものが安く買えるとき、高い設備資金をかけて自分で生産する必要はありません。

(i) Why buy a cow when milk is so cheap? 《ミルクが安く手に入るのに、なぜ牛を飼うのか》
 = Why buy a cow when you can get milk for free?《ミルクがただで手に入るのに、なぜ牛を飼うのか》

(i)は、しばしば結婚に反対する論拠としても使われるようです。

 現在、役に立たないように見えるものでも、将来役に立つことがあります。だから、手に入るものは何でも手に入れ、いつまでも利用できるように蓄えておけと、次のコトワザはいいます。

(j) All is fish that comes to the net.《網にかかるのは何でも魚》「転んでもただで起きぬ」
  = All is grist that comes to the mill.《水車場へ来るものはみな穀物》
(k) Keep a thing seven years and you'll (always) find a use for it.《物は7年取っておけば使い道が出てくる》「要らぬ物も3年たてば用に立つ」

 節約につとめ、たしかな生活の基盤をつくることが、もっとも大切なことです。節約を忘れ、浪費に走るのは、愚者のすることです。

(l) A fool and his money are soon parted.《愚者はすぐに金と別れる》
(m) A fool and wealth cannot possess each other. 《愚者と金は相性が悪い》

 節約することは、稼ぐことと同じと知るべきです。

(n) Money does not grow on trees.《金は木に生らない》
(o) A penny saved is a penny earned (or gained).《1ペニーの節約は1ペニーの稼ぎ》
          別掲 → 教訓30 小さなものも次第に大きくなる。

 しかし、あまりにも節約が高じると、他人にはけちと思われます。その代表が昔のイギリスでは、靴屋でした。日本にも「紺屋の白袴」があります。

(p) Who is worse shod than the shoemaker's wife?《靴屋の女房よりひどい靴を履いているものはいない》「紺屋の白袴」
  = The cobbler's wife goes the worst shod.
(q) The shoemaker's son always goes barefoot.《靴屋の息子はいつも裸足》「紺屋の白袴」

このコトワザは、本当は忙しくて家族の面倒まで見ていられないのでしょうが、他人にはそれが吝嗇にも見えるのです。しかし、節約精神としては立派なものというべきです。

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