教訓 135. 集団をまとめる知恵はいろいろある。


The family that prays together stays together.《ともに祈る家族はいつまでも別れない》


 集団は自らを維持するための知恵を必要とします。コトワザはそのための方法をいくつか説いていますが、一つは見出しのいうように、宗教です。

 団結にはまた、相互の信頼関係が不可欠です。そのためには、お互いが友愛と仁義で結ばれていなくてはなりません。一片の人情の披歴が、人の親近感を呼び、人々を結束させます。とくに仁義は、集団維持の要です。悪人とて、その例外ではありません。

(a) One touch of nature makes the whole world kin.《一片の人情が世の中を親密にさせる》
(b) There is honor among thieves.「盗人にも仁義あり」
(c) Dog does not eat dog.《犬は犬を食わない》「悪獣もなおその類を思う」

 次は、秘密厳守です。家族の恥や仲間の秘密は、外に漏らしてはいけません。漏らせば、全体が恥ずかしい思いをしたり、罰を受けたりします。集団は、自己防衛上、そのような秘密を売ってはいけないという掟をつくります。

(d) Don't wash your dirty linen in public.《汚れた下着を人前で洗うな》
  = One does not wash one’s dirty linen in public
(e) Don't (or never) tell tales out of school.《学校の中の話を外でするな》
(f) No names, no pack drill.《名前を出さなければ、軍規違反の罰もない》

(d)は家族の恥を人前にさらすな、(e)は学校仲間の内輪話を外へもらすな、(f)は軍隊では仲間の名をあげて告発するな、という意味でそれぞれ用います。

 とくに、地域の和を重んじたのは、封建制度の地縁社会でした。わが国もその例にもれず、日光東照宮には「見猿、聞か猿、言わ猿」の「三猿」が彫刻されていますが、これはお互いの弱点を言い触らすことをいましめる意味をもっていました。John Bartlett の Familiar Quotations によれば、その「三猿」Three Wise Monkeysの故事を借用して、イギリスでは次のコトワザができたといいます。

(g) See no evil, hear no evil, speak no evil.《悪を見ず、聞かず、言わず》

他人の罪や欠点をなどに対しては、目と耳と口をふさいだ三匹の猿のように賢く振る舞えば、地域の平和が保たれるという処世訓なのです。

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