教訓 108. 貴重な時間を有効に利用すべし。


(The) Busiest men find the most time.《最も忙しい人が最も暇を見つける》


 時は貴重なものです。それは金銭と同じく、浪費すべきではありません。

(a) Time is money.「時は金なり」

 貴重な時間は不足するばかりですから、何とか工夫して生み出すように心がけなければなりません。工夫すれば、ある程度まで時間は発見できるものなのです。そこで見出しのことわざがあり、それと対をなす次のコトワザがあります。

(b) Idle folk (or people) have the least leisure.《不精ものが一番暇がない》

 これらのコトワザは、逆説のように見えます。常識的に考えれば、多忙なものは時間がないし、不精ものは時間が余っているように思われるからです。しかし、少し裏から眺めれば、多忙なものは寸暇を惜しむが故に暇を見つけますが、不精ものは暇を見つける努力さえしませんし、暇のないことを働かないことの口実にさえします。つまり「忙しい人には暇がある」が、「不精ものには暇がない」のです。

 忙しい人は暇ができても、無為に過ごすことができません。だから、パーキンソンの次の法則が生まれるのです。

(c) Work expands so as to fill the time available.[C. N. Parkinson]《暇な時間を埋めるために仕事は増える》

 何かを頼むときも、暇な人に頼んではいけません。忙しい人に頼むべきです。

(d) If you want something done, ask a busy person.《何かしてもらいたければ忙しい人に頼むとよい》

 また、時間は貴重であるという考えから、だれにとっても時間厳守や几帳面さが必要であるとする、次のようなコトワザが生まれます。

(e) Punctuality is the politeness of kings (or princes).[Louis XVIII]《時間厳守は君主の礼節》
(f) Punctuality is the soul of business.《時間厳守は仕事の極意》

 社会生活では決まった時間に遅れることは悪いことですが、しかし遅れても不履行よりはましであるという、次のコトワザもあります。

(g) Better late than never.《遅れてもやらないよりはまし》
          別掲 → 教訓74 不十分でも無いよりはまし。

これは、より悪い状況との比較から、現状を肯定しようとするコトワザ特有の論理であり、前節「極端と中庸」で見た「不足礼賛」の知恵と同じものです。

 いずれにしても、時間は貴重なものですから、だらだらと無為に過ごしてはいけません。明日はもうないという覚悟で、一日一日を精一杯充実させて生きるべきです。いうなれば、茶道でいう「一期一会」の精神が必要なのです。英語にも同じ意味のコトワザがあります。

(h) Live every day as though it were last.《毎日を明日なきものとして生きよ》「一期一会」

                      本文のトップに戻る