教訓 103. 少しずつでも継続してやれ。


Many a little makes a mickle.《小さなものでも多く集まれば大きくなる》「塵も積もれば山となる」「継続は力なり」
          別掲 → 教訓30 小さなものも次第に大きくなる。


 見出しのコトワザは、どんな小さなものでも、また力のないものでも、忍耐と努力の継続でやがて大きな力となり、大事業を成し遂げるという意味のものです。「継続は力なり」です。成功するためには、どのような方法論を弄するよりも、こつこつと地道に継続することが大切であると教える正攻法のコトワザが、英語ではやはりもっとも多いようです。

(a) Little by little and bit by bit.《こつこつ少しずつ》「千里の道も一歩より起こる」
          別掲 → 教訓30 小さなものも次第に大きくなる。
(b) Little and often fills the purse.《小銭でも何度も蓄えれば、財布がいっぱいになる》「継続は力なり」
          別掲 → 教訓30 小さなものも次第に大きくなる。
(c) Little strokes fell great oaks.《小さな打撃も大きなカシの木を倒す》
(d) Constant dropping wears away the stone.《絶えず落ちる水滴は石にさえ穴をあける》「点滴石をも穿つ」「継続は力なり」
(e) He who shoots often, hits at last. 《何度も射れば、最後には当たる》「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」
          別掲 → 教訓37 大きいものや多いものは有利である。
(f) If at first you don't succeed, try, try, try again.《一度でうまくいかなければ何度でもやれ》
(g) It's dogged that (or as) does it.《事をなすのは頑張りである》
(h) Rome was not built in a day.《ローマは一日にして成らず》「大器晩成」
          別掲 → 教訓98 あせらずゆっくりが勝利への道。
(i) The longest journey begins with a single step.《もっとも長い旅も一歩から始まる》「千里の道(行)も一歩より起こる」
 = A journey of a thousand miles begins with one step.《千マイルの旅は一歩から始まる》「千里の道(行)も一歩より起こる」
          別掲 → 教訓87 物事は始めが大事である。
(j) A rolling stone gathers no moss.「転石苔を生ぜず」 →@「石の上にも三年」(イギリス)、A「流れる水は腐らず」(アメリカ)

(j)は、《落ちつきのない人は大成しない》というイギリス英語本来の意味に加えて、とくに変化に富むアメリカ社会では、《活動的な人は常に新鮮さを保つ》という意味にも使われます。つまりイギリスでは、《ころがる石にはコケのような貴重なものは生えない》、だから「石の上にも三年」という意味で用いられ、コケがプラスのイメージであり、転石がマイナスイメージなのです。ところが、アメリカでは逆に「流れる水は腐らず」、つまり《ころがる石にはコケのようなつまらないものは生えない》という意味で用いられ、コケがマイナスイメージであり、転石がプラスイメージに変わってしまったのです。文化の土壌がコトワザの意味を変えた例といっていいでしょう。

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