教訓 88. 物事は終わりが大事である。


All is well that ends well.「終わりよければすべてよし」


 しかし、何ごとにも始めがあるように、何ごとにも終わりがあります。見出しのコトワザをシェークスピアも自分の戯曲の題名にしています。ちなみに、坪内逍遙は「末よければ総てよし」と訳しています。

(a) Everything has an end.《何ごとにも終わりがある》

 そして、よいことが終わるのは、悲しいことです。とくに、恋の終わりはそうです。

(b) Love is sweet in the beginning but sour in the ending.《恋は始めは甘いが、終わりは酸っぱい》

 だから、大事なのは物事の始めではなく、むしろ終わりであるといえます。最初うまくいくと、図に乗って失敗するケースも多いからです。「九仞の功を一簣に欠く」ことになってはいけません。

(c) Win at first and lose at last.《最初に勝つと、最後に負ける》「始めの勝ちは糞勝ち」

 その反対に、最初失敗しても最後がよければ、それまでの失敗をすべて償うことができます。やはり、最後に笑うものが勝つのです。

(d) The end crowns the work.《仕上げが仕事に王冠を与える》「細工は流々仕上げを見よ」
 = The end crowns all.《最後がすべてを飾る》「仕上げが肝心」
(e) He laughs best who laughs last.《最後に笑うものの笑いが一番よい》
 = He who laughs last, laughs longest.《最後の笑うものは一番長く笑う》

 さて、このように「始めが大事」とするものと「終わりが大事」とするものとは、対義コトワザをなしていますが、すでに述べたように、コトワザの主張はそれぞれの立場の真実を伝えているものですから、どちらにも真実があります。仕事に着手した直後は始めが大事ですし、仕事が完成に近づいたときは終わりが大事になるのです。

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