教訓 62. 現在の不幸は将来の幸福をもたらす。


Sweet are the uses of adversity.[Shakespeare]《逆境のもたらす利益はすばらしい》


 コトワザはまた、すぐれた精神衛生について教えてくれます。不幸にさいなまれているものでも、その境遇への対処の仕方によっては、それを幸福に変えることができるというものです。この種のものとしては、まず見出しのコトワザのように、不幸というものは自分を育て鍛えてくれるための糧であると考え、不幸から幸福になるための知恵をくみ取れというものがあります。次の類義コトワザもそうです。

(a) Adversity makes a man wise.《逆境が人を賢くする》「艱難汝を玉にす」
(b) Trouble brings experience and experience brings wisdom.《苦労が経験をもたらし、経験が知恵をもたらす》
(c) Failure teaches success. 「失敗は成功の基」
          別掲 → 教訓183 学問より経験がまさる。
(d) Crosses are ladders that lead to heaven.《十字架は天国へ至る階段》

 考えてみれば、幸も不幸も相対的なものでから、現在の不幸も、もっと大きな不幸と比較すれば、それほどでもないことになり、少しは気持ちが楽になるものです。

(e) Misfortunes tell us what fortune is.《幸運の何たるかは不運が教えてくれる》
(f) Nothing so bad but it might have been worse.《これ以上に悪化することはないと思えるほどに悪化した事態はこれまでにない》(どんな悪化した事態にもまだ救われる余地がある)
(g) Worse things happen at sea.《航海に出るともっとひどいことがある》

 同じように、悪に苦しんだものの方が善の何たるかを知っているのです。

(h) No man better knows what good is than he who has endured evil.《悪に堪えたもの以上に善を知るものはいない》

 このような考え方を進めていきますと、次のように不幸あっての幸福ということになり、また幸福を味わうとかえって不幸になるという極端な人生観にまで行き着きます。

(i) If there were no cloud, we should not enjoy the sun.《雲がなければ太陽の有り難さはわからない》
(i) It is misery enough to have once been happy.《むかし幸福であったことは非常に不幸なことだ》

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