教訓 52. 運命の神は気まぐれである。


The gods send nuts to those who have no teeth.《神は歯のない者にクルミを授ける》


 このように、幸運も不運も続くものとすれば、運命を司る神はかなり不公平であるといっていいでしょう。折角の天の恵みであるクルミも、それを食べるだけの力のないものにとっては、運命の神の嫌がらせとしか感じられないかもしれません。

 同様に、次のコトワザも、常に大軍に味方する神の依怙贔屓を指摘しています。

(a) God (or Providence) is always on the side of the big battalions.《神はつねに大軍に味方する》

 さらに皮肉なことに、神に愛され、才能を与えられたものが若死にするのです。日本でも、「佳人薄命」「才子多病」などといいます。

(b) (Those) Whom the gods love die young.《神に愛されるものは若死にする》「佳人薄命」
 = God takes soonest those he loveth best.《神は愛するものをすぐ連れ去る》「佳人薄命」
          別掲 → 教訓171 才能あるものは早死にする。

 その反面、いかにも危なそうで、案外生きながらえるものがいます。子供と船乗りと酔っぱらいです。彼らには神の加護があります。

(c) Heaven protects children, sailors, and drunken men.《天は子供と船乗りと酔っぱらいとを保護する》

 また、神の加護は動物にも及びます。人間のために毛を刈られた子羊は、自然の神にやさしく護られるし、虐待されても子猫がなかなか死なないのは、神に命をいくつも与えられているからです。

(d) God tempers the wind to the shorn lamb.[Henri Estienne]《神は毛の刈りたての子羊に風を和らげる》
(e) A cat has nine lives.《猫には九つの命がある》

 愚者も神の加護を受けるといいます。

(f) Fortune favors fools.《幸運は愚者に味方する》

日本でも「猫を殺せば七代祟る」といい、魔性の執念深さは死後も持続するとされています。

 運命の神は、また人間の結婚についても気まぐれを発揮します。運良く良縁に恵まれるものもいれば、恵まれないものもいて、まことに「縁は異なもの」、すべては神のみこころ次第だと、コトワザはいいます。

(g) Marriages are made in heaven.《縁組みは天国でなされる》
 = Marriage is destiny.《結婚は運命》
(h) Marriage is a lottery.《結婚は運次第》

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