教訓 47. 世の中のものはすべて変化する。


There is nothing permanent except change.[Heraclitus]《「変化」以外に永久のものはない》


 時は流れ、あらゆるものは変化します。

(a) Times change.《時勢は変わる》
          別掲 → 教訓107 時間は飛ぶように過ぎる。
 = Times change and we with them.《時世は変わり、時勢とともに我々も変わる》

 この人生に永久不変のものは何一つありません。もしあるとすれば、それは変化するという事実だけであるというのが、見出しのコトワザの意味です。まことにヘラクレイトスのいうように「パンタ・レイ」なのです。

(b) Patna rhei.[Herakleitos]《万物は流転する》

 だから、今日ここにあるものが明日ここにあるとはかぎらないし、それどころか今朝あったものがその日の夕方には、別のものに変わっていることがあるかも知れないのです。

(c) Here today, (and) gone tomorrow.《今日はここにあるが、明日にはもうない》
(d) The law is not the same at morning and at night.《法律は朝と夜とで同じではない》「朝令暮改」

 また、今日人の身に起きたことが、明日は我が身に起きない保証はありません。

(e) Today you, tomorrow me.《今日は貴方、明日は私》「今日は人の身、明日は我が身」
 = Today for me tomorrow for thee.
        別掲 → 教訓63 人はいつ不幸になるかわからない。

 自然についても、それは同じです。一見、自然は悠久不変のように思えますが、われわれ自身との関係から眺めれば、自然の事物は一つとして同じままであることはできません。人は同じ川を二度渡ることはないのです。

(f The same man never crossed the same river twice.《同じ人が同じ川を二度渡ったことはない》

たとえ今日渡った川が昨日と同じ場所にあったとしても、流れる水は昨日と同じではないし、渡ったわれわれ自身も、厳密にいえば昨日のわれわれ自身ではないのです。

 もっと大きな時の流れの中で変わるものに、風俗習慣がありますが、人はそれに合わせて生きるしかありません。

(g) Other times, other manners.《時代が変われば風習も変わる》「移り変わるは浮き世の習い」

 生あるものは必ず滅びます。人生のはかなさは、一場の夢です。

(h) Life is but an empty dream.[Henry Wadsworth Longfellow]《人生ははかない夢にすぎない》「一炊の夢」

 いつなんどき、何が起こるかわからないのも人生です。そこには未知の事実が満ちあふれ、それらは奇々怪々、フィクションよりずっと面白いといえます。

(i) Fact (or Truth) is stranger than fiction.《事実は小説より奇なり》

 この世に住む人々は、それゆえ、変化に慣れています。人目を引く事件も、すぐに忘れられるのです。【教訓 46】で見た「Wonders will never cease.《驚異はけっしてなくならない》」というコトワザとは、正反対の考え方が生まれるゆえんです。

(j) A wonder lasts but nine days.《驚きは九日しか続かない》「人の噂も七十五日」


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