教訓 9. 人間関係には距離をおけ。


Good fences make good neighbors.《よい垣根がよい隣人をつくる》
「親しき仲に垣をせよ」


 したがって、人は対象から適当な距離をおいた方がよいというのが、大方のコトワザがすすめる処世訓です。人間関係についても、その方が尊敬を増し、友情を長続きさせる秘訣です。

(a).Manners know distance.《行儀は距離を知っている》「親しき仲にも礼儀あり」
(b).A hedge between keeps friendship green.《間の垣根が友情を新鮮に保つ》
(c).Love your neighbor, yet pull not down your fence.《隣人を愛しても垣根を取り壊すな》

 これらのコトワザは、煎じつめれば、

(d).Friends agree best at a distance.《友人は離れているときが最も仲がよい》

ということになります。つまり、人には距離が必要なのです。これは、日本のコトワザの「三尺下がって師の影を踏まず」や「親しき仲にも礼儀あり」と同じ考え方といえるでしょう。車の衝突事故を防ぐために「車間距離」が必要なように、人間社会での衝突を回避するためには「人間(じんかん)距離」を置かなくてはならないと、外山滋比古氏は「英語ことわざ集」で書いています。

 ここまで見てくると、最後に、次のコトワザにたどり着くことになります。

(e).An Englishman's house is his castle.《イギリス人の家は城塞である》
 = A man's house is his castle.《人の家は城塞である》

 隣人との間につくられた垣根の意味は、極言すれば、外敵から身を守る城壁に等しいといえます。そして城は、何人たりともそこに侵入することを許さないプライバシーの牙城です。プライバシーの確保こそ、共同生活を円滑にする要件であるとする個人主義思想の具象化を、このコトワザに見る思いがします。

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