教訓 6. 近くにあるものは軽んじられる。


Familiarity breeds contempt.《狎れ親しむと軽蔑心が生まれる》「所の神は有り難くない」


 さて、人は身近なものに親近感をもつ一方で、見なれてくるとそれまでの魅力が次第に色あせ、むしろ嫌悪や疎ましささえ感じるものです。それに、遠くからは見えなかった欠点も、近くから見るといっそう目立ち、それまでの尊敬は軽蔑に変わります。英雄や予言者は、遠くから眺めるべきもので、接近すべきものではありません。

(a).No man is a hero to his valet.《召し使いに対し英雄であるものはいない》「所の神はありがたくない」
(b). A prophet is not without honor, save in his own country (and in his own house).[Matthew13-57]《予言者が尊敬されるのは、自分の国や郷里以外である》[聖書マタイ伝13−57]

 同様に、親しい友人や親戚でも、あまり慣れ親しむと自我が出て、お互いの親交に支障を来します。そのような経験から、長居や頻繁な訪問を避けるよういましめる、次のようなコトワザがあります。

(c).A constant guest is never welcome.《いつも来る客は歓迎されない》「心安きは不和のもと」
(d) Fish and guests stink after three days.《魚と客は3日経つと鼻につく》
(e).Do not wear out your welcome.《長居して飽きられるな》

 さて、近くのものが軽んじられるのは、なにも人間にかぎるわけではありません。ものについても同じです。目の前に多くあり、安価で簡単に手に入るものには、人間はあまり魅力を感じないものです。そのようなものは入手してもすぐ手放すというのが、次のコトワザです。

(f).What costs little is little esteemed.《値段の安いものは評価されない》「安かろう悪かろう」

(g).Lightly come, lightly go.《簡単に手に入るものはすぐに出ていく》
 = Light come, light go.
  = Quickly come, quickly go.
 = Easy come, easy go.
          別掲 → 教訓149 悪銭は身につかない。

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