コトワザこぼれ話(4)

「急いで結婚し、ゆっくり後悔せよ」


a. Marry in haste, and repent at leisure.《急いで結婚し、ゆっくり後悔せよ》

 英語のコトワザには、この種の構文が多くあります。文字通りの意味は、《急いで結婚し、ゆっくり後悔せよ》ということです。むろんすすめていることはその反対で、あわてて結婚すると、後で悔いることになるから、そんなことはするなということです。

 しかし、そういったのでは身も蓋もない平凡な助言になりますから、もっと強烈な反語表現を使ったわけです。「そんなにあわてて結婚したいのなら、してもいいよ。そして、ついでに後悔したらいい。でも、そんな馬鹿なことはしないよネ」という気持ちなのです。

 この形式の類例を挙げておきます。いずれも本書に取り上げたものです。

b. Lend your money and lose your friend.《金を貸し、友を失え。》→《金を貸せば、友を失うことになる》→《だから金を貸すな》
c. Live by the sword, die by the sword.《剣で生き、剣で死ね》→《剣で生きれば、剣で死ぬことになる》 →《だから剣で生きるな》
d. Spare the rod and spoil the child.《鞭を惜しんで、子どもを駄目にせよ》→《鞭を惜しめば子供はだめになる》→《だから鞭を惜しむな》
e. Sow the wind and reap the whirlwind.[Hosea]《風の種を蒔いて、旋風を刈り取れ》→《風の種を蒔けば、旋風を刈り取ることになる》→《だから風の種は蒔くな》(悪事を働くな。働けば何倍もの罰を受けることになる)
f. Win at first and lose at last.《最初に勝って、最後に負けよ》→《最初に勝てば、最後は負けることになる》→《だから最初に勝つな》

ただし、次のコトワザは同じ形を取っていますが、似て非なるものです。

g. Go to bed with the lamb and rise with the lark.《子羊と一緒に寝てヒバリと一緒に起きよ》
h. Love me little, love me long.《少し愛して、長く愛して》
i. Speak the truth and shame the devil.《真実を語れば悪魔も恥じる》

ここでは、and やコンマの次の節は反語になっていないということ、すなわち字義通りすすめたい教訓そのものであることに注意してください。

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