昭和と平成 ― 二つの時代を生きて 安藤 邦男
世代は英語でジェネレーションというが、これは親が子どもに代を譲るまでの時期、およそ三十年を意味する。現天皇はその語義を見事に守り、平成を三十一年で区切りをつけようとされている。それが来年の四月だと思うと、いささか感慨を催す。
思えば、昭和の時代をほぼ六十年、平成の時代を三十年、併せるとなんと九十年になんなんとする歳月を生き延びてきた。病身の身がよくぞと、自分を褒めてやりたい気もするが、これはひとえに妻を始めとする周囲の人たちのお陰であると、感謝の日々である。
顧みればわたしの人生は、昭和と平成を境に二つに分けられている。第一の人生は昭和の時代に高校教師を退職したときまでである。第二の人生は平成の時代になり、短大教師として勤めた前期と、パソコンを友に自由に過ごした後期とからなり、現在その延長線上にある。
さて、新しい時代を迎えるに当たって、人それぞれ思いは違うであろうが、自分なりに過去をキーワードで総括してみたい。わたしにとって、昭和とは〈敗戦と復興〉〈思想の多様化〉〈経済成長〉の時代であった。平成は、〈失われた世代〉〈平和主義〉〈自然災害〉の時代であった。そして今思う、次なる時代の特徴は、どんな言葉で括られるだろうかとー。
(平成30年8月)