<媒酌人挨拶>               平成8年3月3日

自己紹介 ただ今、ご紹介に預かりました媒酌人の安藤邦男でございます。

来駕御礼  本日は、皆様方格別にお忙しい中をA家・M家ご両家の結婚披露宴に、このように多数ご来駕の栄を賜りましたことを、新郎新婦並びにご両家に代わりまして、厚くお礼申し上げます。

挙式報告  やよい三月三日は桃の節句として遠く平安の昔から祝われてきた祭日でありますが、この佳き日にあたり、当平安閣の神前におきまして、先刻、新郎H君と新婦Tさんの婚礼の儀が滞りなく行われ、目出たく夫婦の契りを結ばれました。ここに謹んで皆様方にご報告を申し上げることの出来ますことは、私ども媒酌人のこの上もない喜びとするところでございます。

経歴紹介  では、恒例によりまして、お二人の経歴を簡単にご紹介させていただきます。新郎のH君は、昭和四十年八月二十二日、岐阜市野一色に安藤家の長男として生まれ、岐阜県立岐山高校を卒業後、難関を見事突破し、岐阜薬科大学に入学、平成四年同学を卒業と同時に、岐阜県に薬剤師として採用され、現在は多治見保健所に環境衛生課技師として勤務、前途を嘱望された有能な人物であります。私はH君とは伯父・甥の関係でありまして、小さい時からよく存じておりますが、非常に真面目で熱心な勉強家であるとともに、子供の頃から続けた柔道では二段の腕前を持つというスポーツマンでもあります。それだけでなく、心もいたって優しく、親思いの孝行息子でもあります。

  新婦のTさんは、昭和四十三年三月二十三日、岐阜市太平町に毛利家の次女としてお生まれになり、昭和六十一年、鴬谷女子高校を卒業後、一時クリニックに勤められましたが、心に期するところがあって、再び看護学校に入学、資格を取得後、平成三年から岸本医院に看護婦として勤務されていました。しかし、この度の結婚のため、当医院を惜しまれながら退職、当分は新居で家庭を守られるということですが、いずれまた新しいところで自分の持てる資格を生かされることと思います。優しさの中にもしっかりしたところのある近代的なお嬢さんであります。のみならず、聞けば新婦も新郎に劣らずなかなかのスポーツウーマンで、高校総合体育大会や、岐阜市民総合体育大会では、軟式テニスの部で三度も優勝をしておられます。本人の努力もさることながら、ご両親の立派な教育の成果であると思う次第でございます。

馴れ初めとプロポーズ  さて、次は二人が結ばれるにいたった経緯についてでございますが、そもそもの出会いは、今を去る二年半前の平成五年の初夏、友人の紹介がもとであったと申します。はじめのうちは、普通の友だちとしてドライブに行ったり、食事をしたりという付き合いであったようですが、何時しか恋が芽生え、二カ月後の夏の終わり頃には早くもお互いを恋人として意識するようになっていたと言います。プロポーズはそれから一年後、たまたま二人で出かけたスペイン村で、美しい夜景を眺めながら言った言葉は「君といつまでも一緒にいたい」というものでありました。「いつまでも一緒にいたい」という言葉は、「好きだ」とか「結婚したい」という直接の愛情表現より、ずっと豊かに洗練された言葉で、謙虚なH君にいかにも相応しいものだと思いました。控えめであるだけに、その奥に秘められた、偕老同穴、永遠の愛の誓いが一層強く輝いて見える言葉であります。むろん、それに対するTさんの答えは、「あなたにどこまでもついて行く」という、まるでハリウッド映画の名場面を髣髴させる言葉であったそうであります。

お互いの好きな点  昨年の十二月のことであります。二人が初めて私の家を訪れたとき、私はお互いのどこが好きであるかと尋ねました。するとH君は「Tさんの淑やかさの中にあるパワフルでややお茶目なところが好きだ」と言い、TさんはH君の「優しく、冷静で物事に動じない態度が好きだ」と言いました。私はそれを聞いて、これはカップルとしてはまことに理想的な組み合わせだと思い、安心いたしました。

補い合う夫婦 と申しますのは、夫婦というものは、もともと男女相補うという関係に成立するものであり、それぞれが相手と違う一面を持っているからうまく行くのではないでしょうか。これがまったく同じであれば、ちょうど鏡の中の自分を見ていると同じで、全然面白くないはずであります。TさんはH君の中に自分にない「冷静さ」を見ているし、H君はTさんの中に自分にない「快活さ」を見ている。そして、それぞれが自分にないものとして相手の中に認めた性格を、好きになっているわけであります。夫婦としての二人の相性は、これにまさるものはないと思います。

二人への言葉 そこで、お二人に申し上げたいのですが、結婚生活は新家庭の建設という一大事業であります。それは、それぞれが相手の足らざるを補い、自らの足らざるを補ってもらうという、二人三脚の生活でなければなりません。お二人には折角の相性の良さというものがあります。願わくばその相性を土台にし、その上に愛情と思いやりをもってお互いを見つめ合い、協力し合ってもらいたいと思います。そうすれば、必ずや素晴らしい理想的家庭を築くことが出来るでありましょう。

結びの言葉 さて、ご同席の皆さま方にもお願い申しあげたいと思います。二人は何分にもまだ経験も浅く、若輩の身であります。しかも、世の中はやがて二十一世紀へと向かって急速に動いております。これからの二人の人生にも多くの変転があるかもしれません。どうか皆さま方、人生のよき先輩として、またよき友人として、末永く暖かいご指導を賜りますよう、心からお願い申しあげる次第でございます。

 はなはだ粗略ではございますが、媒酌人としてのご挨拶に代えさせていただきます。本日はまことに有り難うございました。

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