「麻原裁判に思う」

平成16年2月28日


 麻原彰晃の死刑判決が出た。最後まで、弟子の暴走を主張し、自らの責任を回避した彼の態度を見て、犠牲者の遺族はもちろん、日本人のすべてがやり切れなさを味わった。

 だが、もし彼が潔く自分の責任を認め、遺族に謝罪していたらどうであったか。罪を憎んで人を憎まずの日本人としては惻隠の情にほだされたにちがいない。しかしそれが恐い。

 その意味で、今回の麻原の法廷における一連の言動は、オウムの禍根を断つにはむしろよかった。かつての偶像の鉄面皮は剥げ落ち、後に見るも無惨な自己顕示と権勢欲の残骸が露わになった。これが教祖麻原の人間性であり、オウム真理教の偽らざる姿であると知った。彼を反面教師として、今後われわれは信仰や宗教の問題を考えていかなければならないと思う。

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