「漢字テストの復活を」

 2003年(平成15年)7月17日付 中日新聞「発言」欄に掲載

 日曜の朝は、妻と漢字テストを競い合うのが楽しみのひとつであった。残念なことに、その漢字テストが日曜版の紙面から消えた。

 近年、わたしは文章をすべてワープロソフトで書いている。手書きより何倍も早いし、簡単に推敲ができるのもいい。

 しかしワープロには欠点がある。わたしの経験では、キーボードに長らく慣れてくると、手が覚えていた筆運びの感覚や能力が次第に衰えていく。いままで無意識に書けた字が、ある日突然書けなくなるのである。

 これを防ぐには、ペンをもって実際に字を書く以外にはない。その点で、漢字テストが大いに役立ってくれた。

 いま世はIT時代、パソコンはますます普及するであろうが、同時に漢字離れ、漢字忘れが進むのではないかと危惧する。ささやかな防止策としても、漢字テストの復活を強く望みたい。

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