「百のうた 千の想い」を読みて

                           九十一歳の老女その心を詠む

たたかひの終わりしあとの心をば

    百人一首にまとめたるあり

                      

あの時の皆の心をしるしたる

    うたはそれぞれ忘ることなし

                      

たたかひが終わりを告げるおおよその

    予感はすれどただただかなし

                     

ふるさとに帰りし勇士は農具持ち

    空に大地に何いのるらむ

                      

マラリヤの熱の高さに涙して

    戦地の友を想いやる君

                      

子どもらにやさしかりける君なるに

       戦は人の心も変へしか

                      

大空の青さが身にしむ今日ひと日

       平かなれとただ祈りつつ

                     

それぞれにうたの心つかみたる

       挿絵にひとり涙ぐみたり

                     

人は死ぬ殺されなくても人は死ぬ

        それがわかりしこの頃の我

                 鷲見 静(九十一歳)